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ペンギンノート

福島在住ライターのブログです。 福島から見た政策・経済などについて、リアルな感覚から書いています。

はかりまくる。

政策 コラム

今夏の参院選で、「測りまくる日本」と演説する候補者がいた。
放射線測定をもっとやりましょうということのようだ。
逆に言えば、彼の認識では「現状の放射線測定は足りていない」のだろう。
実際の言い方では「被ばくの測定」といっているのだけれど、
人体への放射線による影響の度合い(単位:シーベルト)だけを測るのではなく、食べ物や土壌の中の放射能の強さ(単位:ベクレル)も測ると言っているので
ひっくるめて「放射線測定」をもっとやるべきだ、ということのようだ。
もっと測る。逆に言えば「あまり測っていない」と認識しているようだ。

さて、本当に「あまり測っていない」のだろうか。

例えば米。
福島県では、2012年度から年間約1000万袋が全量全袋検査されている。

福島県外の人への認知度は5割程度と低いが、
2016年4月13日毎日新聞東京版朝刊に鼎談が載っていた)
これ以上測れない(100%測っているので)。

例えば大気。
福島県内で言えば、2016年4月1日現在で3730箇所でリアルタイム測定をしている。(福島県ホームページより
かつ、福島県外でのモニタリング状況が福島県放射線測定マップから見られるが、かなりの高密度で測定システムが設置されていることがわかる。

ということで、現状、既に「測りまくっている」日本、なのである。

そしてこのように「測りまくった」結果、現在の状況はどうなっているのか。

まず米で法定基準値超え(1㎏あたり100ベクレル)をしたのはどのくらいかといえば、
1年間で約1000万袋を測ったうち、2012年度生産分で71袋、2013年度生産分で28袋。2014年度生産分で0袋になった。
空間線量では、上記福島県ホームページに事故後の線量推移グラフが出ているが、すべての方面が事故前の値である、とは言えないまでも、ずっと減少している。少なくとも上昇はしていない。自然減衰と気象や除染の効果だろう。

つまり、「測りまくってみたら下がっている線量」を、今からまたもっと「測りまくる」のだ、と主張しているわけだ。
米の全量全袋検査にかかっている費用は、年間50億円前後と言われる。

都内でこういった主張をしてしまう候補がいること自体は、残念には思うが、仕方ないのだろうなと思う。
知らないばかりか、知ろうともしていないことも、仕方ないのだろうなと思う。
知ろうとしない上に、「福島県は全土汚染されて住んでいる人は可哀想だ」だとか「子供も遊べないような土地」だとか、酷いものになると「あえて隠蔽している」(例えば米を1袋1袋全部測っている人やその家族をなんだと思っているのだろう)というような無責任で想像力のかけらもない言説を垂れ流すことも、仕方ないのかもしれない。そういう人はいる。

ただ、こういった候補をきちんと見分けてパージしていくために、私たちはひとりひとりがきちんと知ること、あるいはせめて知ろうとすることが重要だと感じる。
数は少なかったにせよ、普段から社会について高い関心を持ち、様々な人との交流もあるだろう人たちまでもが、今回こういった候補を推している状況がちらほら見受けられた。候補の存在そのものより、その周囲の感情に任せた流され方を見て、問題だと感じた。

こういうイロモノ候補をきっかけに、もし若者が選挙や政治に関心を持つようになったなら、それは悪くないことなのだろう。(いい歳の大人までもが熱狂している様子はどうかと思うが)
これを契機に是非政治や日本の政策を含む政治の現状について、興味関心を深めていってくれればと願う。